それで、クラッチが切れないので、ブリーディングが悪いのか、スレーブシリンダーが悪いのか、あれこれ試行錯誤した。
そもそも、エアが十分抜けていると思われる相当重いレバーの握り感覚でも、クラッチがほとんど切れない。それで、クラッチ自体の方に問題があるのかということで、クラッチをあけて、プレートをチェックしたのだが、別にプレート自体に異常はみられない。それで、クラッチプレッシャープレートをつけてスプリングなしの状態では、クラッチハブは多少ひっかかりがあるが、回ることは回る。この時、プレートセットは、バスケットからあふれそうなくらいのスタック高があるのは少し不自然な感じはしたが、そのまま、クラッチは組み上げたのだった。
 それで、やはりブリーディングが不完全なんだろうということで、プッシュロッドがいくら押されているのをチェックしながら、ブリーディングしたのだった。だが、誰もデータをとったことがないらしく、プッシュロッドを何ミリ押せれば、油圧系のミッション・コンプリートかは答えられないのだった。
 で、いろいろやったが、プッシュロッドは、ベストでも2.5mm程度押せるのが限界で、それでは、クラッチはわずかに切れている程度で、とても、エンジンはギア1で、レバーをフルに引いてアイドリングはできない。
 それで、私はブリーディングの才能はないのかなどと思い悩みながら、Aprilia v990 manualのクラッチの部分を眺めていると、Futuraのクラッチには2つバージョンがあるという。で、古いバージョンは、フリクションプレート8枚、プレーンプレート9枚のセット。新しいバージョンは、フリクションプレート9枚、プレーンプレート10枚のセットだということを発見した。それで、うちのFuturaのエンジンナンバーをみると、うちのは古いクラッチだ。それで、再度、クラッチをあけてみると、中には、9枚のフリクションプレートと10枚のプレーンプレートが入っていたのだった。
 おそらく前の前のオーナーかそのバイク屋がクラッチをいじったのだろうが、おかしな話だと思う。ひょっとして、8枚・9枚のセットではクラッチが滑るので、プレートを足したのか全入れ替えしたのか。だが、一番奥のプレーンプレートは、かなり摩耗痕がみられるので、新品ではなく、かなり年季がはいったものだ。9枚・10枚のセットでは、プレート数が多すぎるので、バスケットからあふれそうな状態だ。
 で、プレートをそれぞれ1枚抜いて、8枚・9枚の組み合わせで、クラッチを組み直した。それで、ブリーディングをすると、まだ、エアが残っている状態でも、前より遥かにクラッチは切れる方向だ。また、スプリングの反発力の関係からか、比較的簡単にプッシュロッドは、3mmほど押せる。

それで、これで行けたな、と思ったのだが、ギア1で、レバーをフルに引いた状態で、エンジンはアイドリングを維持できない。それが、謎だった。それで、ワークショップマニュアルをみて、セーフティメカニズムのせいで、エンジン走行中でギアをいれた状態では、サイドスタンドを建てていてはいけないことがわかった。サイドスタンドを解除してやると、Futuraは、ギア1でアイドリングが出来るのだった。

 ということで、ほとんど、2ヶ月近くかかって、クラッチの件は片付いたのであった。結局、この時点では、

  • クラッチスレーブシリンダーのピストンシールを純正新品に交換
  • クラッチディスクプレートをそれぞれ1枚抜いた
  • クラッチマスターシリンダーを、RSV MilleのAxil 12mm中古に変更
  • クラッチ・ホースを中華製汎用のステンレスメッシュに交換


となった。マスターシリンダーが交換となったのは、ついているレバーがFutura用のレバーではないため、クラッチSWのマイクロSWを押せないので。

あとは、クラッチ・スプリングが6個全部とも摩耗限界に近いことだが、クラッチが滑るか滑らないかは、走行してみないことにはわからない。

 あと、登録に行くまでに、レギュレータ、リア・ブレーキパッド、リア・ブレーキ液の交換はしないといけない見込み。レギュレータは、バッテリーが正常と仮定するなら充電電圧不良の症状が出ている。ついているレギュレータは、古い純正の新電元のもの。


IMG_5739NOK USH-20がはめ込まれたスレーブシリンダー。密着しすぎていて内部スプリングでは押し戻せない