heridesbeemerのblog

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SIMロック

総務省、SIMロック解除についてのガイドラインを発表する


6月30日に、総務省は、文書を発表した。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban02_02000046.html

ようするに、2011年度より、新規発売になる端末について、通信事業者の自主的とりくみによって、SIMロックなしの端末の導入を進める。 ということである。

実質的なスタートは、1年後となったあげく、通信事業者の自主的取り組み、ということになり、あまり大きなインパクトは、なさそうな話である。

そもそも、総務省は、SIMロックについて、何をすることによって、何をめざしているのであろうか?

もちろん、ユーザーの利便性ということであれば、海外SIMを海外で使用できるようになる。でも、それは、小さな話だ。

ユーザーを端末ごと、一つのオペレータに縛り付けておく、そういう商習慣に是正を迫る意味はある。しかし、今回のような事業者の自主的な取り組みでは、あまり期待出来ないだろう。

どうも、総務省は、展望を持ってないように思える。



 

SIMロック解除のガイドライン案発表される

5月26日に、総務省は、SIMロック解除に関するガイドライン(案)発表した。
それで、これに対してのパブリック・コメントの受付を6月23日まで行っている。


 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban02_02000042.html
 
要約すると

  1. SIMロック解除は、平成23年度から
  2. 事業者による自主的取り組み
  3. 役務の提供のぎむづけ 

などが書かれている。
前の記事にも書いたように、日本の中の携帯電話事業者では、なんとか互換性のあるレベルは、docomoとSBMだけで、KDDI端末は方式が違うし、イー・モバイル端末は、周波数が違うので、ほとんど、SIMロックがなくても意味がない。

よって、平成23年度からは、SIMロックなし端末とSIMロックはないけど、実際には、他オペレータで使いようがない端末、従来どおりのSIMロック付きの端末が出回ることになる。

docomo/SBMは、SIMロックなしの端末を絞るとみられるが、役務の提供をしっかりやらせることになれば、これまで、長らく、日本の端末市場を牛耳ってきたオペレータ支配の構造も、穴があいてくるだろう。

すでに、Android端末などでは、HTCの旧モデルに、最新版Android2.2(Froyo)がオープンソース版からリリースされるなど、ここでも、ハードとソフトウェアの水平統合は進みつつある。

docomoは、土管屋としては、SBMより遥に優位なんだから、積極的に、非docomoブランドをサポートしては、どうだろうか。

ユーザーが求めているのは、ガラパゴス携帯のような畸形のものではなく、もっと広いデベロッパー・ユーザーに支えられた製品である。

いみじくも、DoCoMoが、docomoに変わるとき、当時のドコモ社長は、これからは、サービスは、ユーザー主導で。と述べていたのだが。


SIMロック論議の見落としている点

すぐる4月2日に、総務省は、4オペレータ、MVNO代表、メーカー代表、消費者代表を呼んで、2007年のモバイルビジネス研究会以来の懸案であったSIMロックについてのヒアリングを行った。

その時の会議資料は、以下のURLから、ダウンロード可能である。

 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/simlock/27604.html


総務省によばれた者のなかでは、日本通信、イー・モバイル、東京都地域婦人団体連盟(消費者代表)は、SIMロック解除に賛成。KDDI,SBM,情報通信ネットワーク産業協会(メーカーの団体)は、反対。docomoは、条件つき容認の姿勢であったようだ。

SIMロックを解除しても、実際には、通信方式、周波数の違いで、ユーザーが行き来できるのは、docomoとSBMの間で、音声通信とSMSが使えるだけである。ウェブ、携帯メールなどは、そのままでは、問題が多い。(従来型国内携帯電話の場合)
あとは、頻繁に海外へ行く人の場合は、SIMロックなしだと、現地のオペレータのSIMが使えるメリットがある。

iPad/iPhoneの場合は、基本的にインターネットの標準テクノロジーをベースとしているので、こういうキャリアを変えることによっての不都合はない。ただ、こういった機械のSIMロックの有無は、従来型国内携帯電話の場合と大幅に状況が異なるので、ここでは、置いておく。

そもそも、モバイルビジネス研究会以来の議論の根底には、

  1. 国内携帯電話メーカーの海外市場における惨敗
  2. 携帯電話事業者が空前の利益をあげる一方でのメーカーの疲弊
  3. 業界の寡占構造の強化

などの認識があったと思う。
それで、分離プランの導入、MVNOの回線使用料の決め方、などが、決められた。 そして、積み残しとなったSIMロックの件である。

そもそも、国内メーカー(シャープ、NEC,Panasonic,東芝、キョーセラ、三菱電機、Denso)などが、海外で惨敗したのは、国内で、SIMロックがあるか、ないかとは、ほとんど関係ない。

SIMロックは、海外でもよくおこなわれているビジネス慣行で、それ自体は、日本だけの話ではない。(日本は、拘束期間すぎても、SIMロックを解除しないのは、ひどいですけどね。)

  日本のメーカーが、海外進出失敗したのは、

  1. 国内のケータイと海外のセルフォンが、同じであるというあやまった認識を持っていた。だから、国内でXXなので、海外でも、XXのはず、という伝で失敗を重ねる。
  2. 第3世代方式への移行時期を見誤った。ほとんどの国内メーカーは、第3世代の時代が来て、GSMはフェーズアウトするとして、過早にGSMを打ちきったが、これは、取り返しのつかない間違いだった。
  3. オペレータとの関係を構築することが下手だった。日本のオペレータは箸のあげさげまで、指示するが、海外オペレータはそうではない。
  4. ソフトウェアが下手で、ほとんどのところが、特定オペレータ依存だった。だから、ハードコーディングが多すぎて、どうしようもないし、数が出せないから、ますますジリ貧になる。

 


など。だから、こんなのは、国内携帯電話のSIMロックを、つけようがつけてまいが、全然、関係ない。ひとえに、メーカーの経営の問題。

そろいもそろって、韓国メーカーに対して、大差をつけられて負けているのだから、もちろん、私も日本人の一人として、愉快な話ではない。だが、SIMロック論議をいくらやっても、国内メーカーの海外進出ということに関していえば、的を外しているので、なにもうるところはないだろう。


 
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