今回の事件で、Loughner容疑者は、9mmのGlock19と33発収納できるハイキャパシティ・マガジン(高容量弾倉)を使用していたことが分かっている。アリゾナは、銃規制が非常に弱いので、これらの機器をほとんど、ノーチェックで買えてしまうだろう。そもそも、銃規制があまりに緩いUSから、銃規制がきついメキシコへ、銃器の流入が問題となっているという。
 しかし、かつてはUSの連邦レベルで、1994年から、アサールトウェポンズ・バン(=AWB,強襲用銃器の禁止令)が、10年間の時限立法で有効だった。このAWBは、なにが、アサールトウェポンで、なにが、そうでないか、という線引きの問題はあったのだが、それでも、まぁ、妥当なレベルで実施になった。しかし、2004年の期限切れで、当時のUS議会では、延長すると言うはなしにはならなかった。というのも、NRAなどの保守派が強かったから。
 今回、Tucsonの事件で使われた、ハイキャパシティ・マガジンは、AWBでは、禁止になっていたので、新規に輸入・販売はできないことになっていた。すなわち、AWBが、いまでも、有効なら、こんなに多数の死傷者は出なかった事は、確実だ。AWBでは、10発までの弾倉しかみとめていないし、スタンダードのGlock19は、15発の弾倉だから。
 憲法の修正条項第二項があるのだし、銃はすでにあふれかえっているのだから、家庭に自衛用の銃器があるのはしかたないとしても、セミオートマティックタイプのサブマシンガンや、ハイキャパシティ・マガジンなどは、自衛用途を遥に逸脱しているのは明らかなのに、いまでもAWBを再現させるには、大変な政治的な抵抗があるというのは、どういうことだろうか、と思う。今回の事件を契機に、まともな銃規制の議論がUS社会でおきることを望みたい。


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