キングダム・オブ・ヘブン
Kingdom of Heaven(USA/2005)
脚本: ウィリアム・モナハン
出演: オーランド・ブルーム、エヴァ・グリーン、エドワード・ノートン、ジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニーソン、ブレンダン・グリーソン
配給: 20世紀フォックス
公式サイト:
評点(5点満点)
ストーリー
フランスのどこかの山村で、鍛冶屋をしているBalian(オーランド・ブルーム)のところへ、Godfrey of Ibelin(リーアム・ニーソン)という騎士が訪ねてくる。Godfreyは、Balianに”お前は私の息子でエルサレムにいって、ともに十字軍を助けよ。”という。いったん、Balianは、ことわるのだが、結局、父とともに、エルサレムに行くことに同意する。しかし、道中で、トラブルがあり、その傷がもとでGodfreyは、メッシナで落命してしまう。Balianは、そのまま、エルサレムに向かうが、途中で船は難破し、なんとか、身一つ馬一つの状態で、エルサレムに、たどり着く。エルサレムは、Baldwin IV(エドワード・ノートン)の治世で、イスラム教徒と和平を保つべきであるというTiberias(ジェレミー・アイアンズ)と、イスラム教徒と対決すべきであるというGuy de Lusignan,Raynald of Chatillon,テンプル騎士団が、内部抗争中であった。
そして、Balianは、Baldwin IVの妹のSybilla(エヴァ・グリーン)の訪問を受ける。
やがて、Baldwin IVはなくなり、Sybillaの定められていた婚約者のGuy de Lusignanが、王になり、サラディンのイスラム教徒勢と戦端を開くことになる。王の率いる十字軍勢力は、1187年7月4日のハッチンの戦いで、サラディンの率いるイスラム教徒勢に完敗し、ほとんど全滅した。
Balianは、王と意見を異にし、ハッチンの戦いには参加しなかったが、エルサレムの防衛を託されることになった。エルサレムには、ごく少数の騎士と、多数の市民が残っているだけであった。。。。。
コメント
やはり、リドリー・スコットというのは、大変な才人だ。この手の映画を作らせたら、彼の右に出る人はいないのではないだろうか。歴史的真実(Balianは、もっと大人であった。Baldwin Ivの次に、子供のBaldwin Vの治世が3年ほどある。実際には、サラディンは、エルサレム攻囲戦の前に、無血開城を勧告している。BalianとSybillaはいっしょになることはない。)とは、違うところが多々あるけれど、それらを抜きにすれば、非常に丁寧に作られた秀作だと思う。
Sybillaのエヴァ・グリーンも、この映画で掘り出し物の好演。女王という位置にふさわしいオーラがにじみ出ていた。この人はフランス人で、ハリウッド系映画にはほとんど出ておらず欧州中心に活躍しているみたいだが、今後に期待したい逸材だと思う。
エドワード・ノートンは、Baldwin IVの役なんだがマスクをかぶっているので、最後のクレジットを見るまでわからなかった。圧巻は、やはり、エルサレムの攻囲戦のシーンであろう。
唯一、感心しないのが、フランスの騎士どころかイスラム教徒勢も、何から何まで、登場人物全員が英語をしゃべっていたんだが、すごく違和感ある。
この劇場公開版は、145分なんだが、もっと、評判のいい、ディレクターズ・カット版は、さらに47分長いそうで、Sybillaのキャラクターがもっと良く描かれているそうである。
結論
歴史をベースにしたフィクションと割り切れば、いいと思う。筋は歴史的真実と違うが、時代考証もそれなりされているし。レッドクリフのことをおもえば、何倍もいいと思う。作るのにお金がかかっていることがよくわかる作品だ。こういう、お金がかかる歴史物は、なかなか最近は、作られない傾向にあるのだが、これは、是非、ディレクターズ・カット版を入手してみずばなるまい、と思った。