まぁ、TVの漫談未満の話にはうんざりなので、ならば、お前はどう見るのか、という話を書いてみよう。
1 緒戦の総括
 電撃戦で、政権転覆させて傀儡政権を樹立という目論見は見事にはずれた。制空権もとれていないし、ウクライナ側の防空システムも破壊できていない。結果として、空軍の活動は極めて低調。キエフの北西で60km近い車列が停滞というのも情けない。で、ウクライナでは、西のウクライナ人も東部のロシア系も、反プーチンで団結した。2週間以上たった今でも、それなりの規模の都市で陥落したのは、Khersonくらいしかない。Kharkiv, Mariupolなどはいずれも国境から40kmない近いところだが、いずれも陥落していない。

2 経済制裁のソ連への影響
 今でも、SWIFTから、ロシア最大銀行をはずすのにドイツが難色とかあるが、ロシア中央銀行の取資産凍結、資産凍結、最恵国待遇の撤廃、G7、EU諸国企業の撤退などが相次いでいるので、ロシアの行き着く先は、1980年代末のソ連みたいなことになるだろう。スーパーマーケットからは商品がなくなって日用品を買うのに行列が必要となり、失業者は増えて、企業価値はほとんどゼロに近くなり、ルーブルの価値は紙切れに近くなり、ウクライナからは遺体と負傷兵が大量に送り返される。それで、いくら報道管制しても、情報はいろんなところから漏れてくる。それで、国内は騒然となるだろう。戦争はプーチン以外の誰も欲していなかったのだから。

3 経済制裁の西側への影響
 各企業では、損切したのも同じなので減損措置は避けられず、当然、株価への影響はあるだろう。投資家も、ロシア企業に投資していた分は蒸発してしまったのと同じなので、打撃を食らっている。だから、株式市場は、今後は、当面下落基調だろう。ロシアのガス、原油は買いませんということなので、他からの調達(ベネズエラ、イラン)をすすめるとともに、既存の生産国の増産をはかるということになるだろう。それでも、原油価格の上昇は避けられず、経済への影響は避けられない。つまり、インフレーションが進んで物価はあがる。で、ロシアと西側で、我慢くらべをすることになるのだが、ロシアに勝ち目はないだろう。

4 戦争の今後の推移
 ロシアの目標は

a)Kharkiv,Kyiv, Odessaの占領
b)西側の陸上国境の占領・封鎖
c)黒海沿岸の封鎖
d)ゼレンスキー政権の打倒。傀儡政権の樹立

 くらいになるが、とても現在、投入している23万そこらの兵力ではこれは達成できそうにない。よく軍事力比較で、ロシア常備軍が90万でウクライナ軍が19万とかいう比較があるが、それは木を見て森をみずの議論だろう。ロシアは国土面積も広く、90万を全部ウクライナに投入できるわけではなくて、モスクワ大公国の昔に帰るのでない限り半分も投入できないだろう。しかも黒海艦隊をのぞけば海軍は使いようもないし。一方、ウクライナは、全力投入できる。西側の軍事経済援助、対露経済制裁もあり、時間はウクライナ側の味方だ。

 ロシア側としては、交渉を有利に導くために

i) Kievの攻略
ii) ベラルーシの参戦
iii) シリア、チェチェンの傭兵
iv) FSB・GRUの工作員による西側からの武器補給への破壊工作

 などが出てくるだろう。
 西側では、Mig-29,Su27,Su25、S300,Bukなどのウクライナへの提供を進めることになるだろう。既に表沙汰になったポーランドのMig-29譲渡ははなばなしくプレスの上にでてしまったが、水面下でやって、ポーランド、スロバキア、ルーマニアからウクライナ空軍のパイロットが乗って帰る分にはなにも問題はない。攻撃用兵器を出すとか出さないとか言う話は、幻想だ。ロシアの誰もが、西側の兵器のせいでロシア兵が死んでることは知ってるのだから。

 当面は、首都Kyivの攻防が焦点だが、まず包囲を達成するのも容易ではないし、市街戦では強固な戦闘意思が問われるが、ロシア側兵士に血を払う用意があるようには見えない。だから、ウクライナ側の士気が大幅に落ちるような事がないかぎり、Kyivは陥落しないだろう。
 Kyivの陥落もゼレンスキー政権の打倒も出来ないようでは、全然、話にならない。そーなると、どうなるかというと

i) WW1の時みたいに、ロシア軍兵士は、戦わない。まとまってウクライナ側に投稿する。反乱部隊が出てくる。
ii) ロシア国内で、反プーチン、反戦の動きが激しくなる。

 それで、プーチンが引きずり降ろされて殺されるか、プーチンがいすわったままで、停戦にこぎつけれるか、だが、おそらく後者はないだろう。それで、ロシアの民衆が収まるとは思えない。

 ということで、この戦争は、ベラルーシ以外の第3国へ拡大するかどうか、核兵器使用があるかを、除けば、多分、次の冬までには終わっていると思う。そして、プーチン体制は打倒されているだろう。