スペック的な事は、ネットで引けるので極力書かない。85年から96年まで生産・販売された。K100の方は、エンジンが、4バルブになったり、リアサスペンションが、改良されたりしたが、K75の方は、エンジンは2バルブのままで、リアサスペンションも、オリジナルのままで、モデルライフが終わった。

 モデルは、
  • C
  • S
  • 無印
  • RT


の4つで、シート高で、標準とローシート仕様がある。
 大きな違いは、ライディングポジションで、RTは、前傾ゼロの騎乗スタイル。Sは弱い前傾だ。Cと無印は、その中間。

 モデルによって、後輪タイヤサイズがちがったり、リアブレーキが異なる。それ以外の中身は、基本的に同じだ。末期のモデルは、ホイールが3本スポークで、BMWの初期のABSが付けられる。多くのパーツを、K100と共有しているので、部品の流用などが可能。

ライディング・ポジション(Sモデル)
 私は、175cmだが、標準シートだと、両足で弱いつま先だち状態だ。というのも、シート高も、82cmほどで低くはないし、なおかつ、シートは幅が相当あり、断面が台形状なので。Sの場合は、ハンドルバーが遠いので、やや前傾になるが、それでも、前傾レベルは弱いほうだ。ステップも下の方で、膝の曲げはきつくない。つまり、ツーリング指向のポジションだと言える。
 165cm以下の人は、ローシート仕様を考えるか、標準シートの肩をけずって蒲鉾状にする、厚底靴などの工夫が必要だろう。(おおまかなポジションのチェックは、cycle-ergoでできる。)

シート
 標準のシートは、厚みがあり乗り心地は良い。私は、買った時についていた、あんこ抜きされたシートから標準のシートに変えたが、乗り心地は相当改善された。

DSC00413分厚い台形のシート


ライディング・フィール
 エンジンは、低回転域から、トルクが出ていて、しかし、パワーバンドはない。というか、全域が、パワーバンドだ。だから、2000回転以下で、4速で市街地走行とかもできる。レッドゾーンは、8300rpmからで、多分、5速*8300rpmでも、200km/Hに届かないのではないかと思う。エンジンの特性からいって、アドレナリンが分泌しまくるようなシャープなものではなく、淡々と距離をこなすような用途があっている。もちろん、低速走行の日本では、十分な性能だ。
 シャフトドライブなので、ジャッキング効果はあるが非常に弱いレベルなので、通常用途ではほとんど意識するレベルではない。

小物入れ・アクセサリ
 シートは、キーで開くことができ、その下には、書類をいれる程度の小さなスペースがある。私の場合、アンテナ分離タイプのETC本体がここに収納されている。シートの後端、テールランプの上にも、もう少し広い収納スペースがあり、ここには、車載工具が収納されている。チケットやコインを収納するスペースは、すくなくともSモデルではない。シガーライターソケットは、RTではあるかもしれないがSではない。オプションでヒートグリップがついていることがある。(後付可能)

DSC00415シート下の収納部


積載能力
 パニアケースが、つけれるので、長旅の時は、パニアケースが欠かせない。パニアケースは、トップケースとちがって、重心をあげないのがいい。ただし、荷物を積むときは、左右のバランスをとって、かつ、マフラーの近くの左側には多少熱くなってもいいものを配分する必要がある。パニアケースは、かように便利なものだが、中古でも結構な値段がするのが、つらいところだ。パニアケースのステーは、荷掛けフック用にもつかえるので、パニアケース非装着時でも、便利である。シート後部はフラットなので、1名乗車時の荷物積載には便利である。

維持費用
 なにせ、26年落ちのモデルであるので、やはり、いろいろ手がかかる。燃料ホース、ブレーキライン、インシュレータなど、ゴム製のものは、取り換えが必要だろう。このモデルを維持していくには、オーナーがある程度のメンテナンスができるか、ディーラーまかせでも金に困らない財布が必要だと思う。壊れやすいクーリングファンなどは、あらかじめ予備部品として前もって手当しておくのがのぞましい。フェアリングなどの外装品は、同色のものを見つけるのは至難の技なので、割らないように注意するしかない。
 タイヤは、バイアスタイヤが標準なので、財布に優しい。前後ともに、2万キロほどは、持つようである。バッテリーは、軽トラック用の流用が効くので、安くて買える。
 車検は、排ガス規制以前のもので、排ガス測定免除なので、普通の整備が出来れば、自分でユーザー車検を通すのは、難しくないだろう。

燃費
 K75は、高圧縮のシリンダヘッドなので、ハイオクが望ましいらしいが、費用の問題もあって、レギュラーを常用している。レギュラーで、ノッキングを感じたことはない。市街地走行では、16-18km/L程度。ツーリングでは、22-25km/L程度だ。

操作系
 ウィンカーの操作は、左・右に、それぞれのレバーがついているという国産車にはないパターンなので、慣れるまでには時間が必要。停止ランプの球切れ警告灯は、起動時に、前後のブレーキを同時にかけないと消えない。センタースタンドを掛けるための右手でもつレバーがあるので、センタースタンドを掛けるのはラクだ。これは、便利なしかけだが、どういうわけか国産車で同じようなレバーがあるのは、見たことがない。サイドスタンドは、個体によって自動跳ね上げのものと、普通のものがあるようである。個体によっては、サイドスタンドをあげないと、エンジンがかからないものがあるそうだ。

DSC00414センタースタンドを掛けるときに使うレバー



結論
 古くて、複雑なメカなので、ある程度の故障は面倒見てやる度量が必要だ。サーキットに持ち込むような用途ではなく、旅の道具として使うなら、悪くない選択だと思う。Kシリーズの縦置きエンジンは、2005年頃までつづいたが、K75が一番軽いモデル(それでも、ウェットで229kg)で、あとのモデルは、全部、4気筒のオーバー750ccで、より重い。フェリーを使う時の料金も750ccで、料金種別が切られていることが多いので、お得だ。もちろん、最新のツアラーとくらべると、スタイリングは古いし、エンジンのパワーも今の600マルチに負けるくらいだし、ABSはないか、あっても黎明期のものだし、古いことは古い。だから、その古さと、カッティングエッジのテクノロジーの無さが理解できるなら、という条件は付く。
 これから、選ぶなら、エンジン自体は、bomb-proofと言われるくらい頑丈なので、エンジン、トランスミッションの下側で、オイルリークなどないものを選びたい。トランスミッションを下ろすのは、大手術になるので、修理工賃が高い。ABSは、末期のモデルしかついておらず、壊れていることが多いので、こだわらないほうがよい。ABSなしのモデルにABSを移植することは原理的には可能だが、交換パーツが多いので、多くの場合、現実的ではないと思う。

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